何年か前に「バックパッカー」という職業を本気で作りたいと思った。
言葉だけ聞くと、ものすごく胡散臭いけど、それは結構本気で考えていた。
考えていたというか、今も実はそう思っていて、旅をするように暮らすというライフスタイルはずっと変わらずぼくの理想として頭の中にある。
現状はどうか、と言われれば東南アジアのカンボジアに家を借り、なんなら店まで構えて定住してしまっている。
2017年は年間で30回以上乗っていた飛行機も、2018年は5回。
全然旅をしなくなった理由は、その場所に留まって成し遂げたい自分のワガママがあったから。
そして、そのワガママのためにお金を使い、時間を使い、気づけばあっという間に1年が過ぎていた。
旅をするように暮らしているのか?
1年が経って、そのワガママはやれたのか。
1年間、お金も時間も使ったその成果はどうだったのか?

答えはシンプルで、何にも変わっちゃいない。
このお店を始めてすぐ、別でやっていた小さなコーヒー屋台を閉めることにした。
そのスタッフには事前に閉めることを伝えてあったが、辞めるその前日になっても次の仕事が決まっていないというので、とりあえず新しく始めた店舗で働いてみたらどうだ?と聞いた。
彼女の答えは「すごく忙しい店で働きたい」ということだったので、あいにくすごく忙しくはなかった新店舗で働くことはなくなった。
それから数日して、彼女は別の日本人が関わるお店で働いていた。
ここでいろいろ目が覚めた。
そうか。
別に自分がここでお店なんか立ち上げなくても、彼女たちには働く道はいくつもあるよな。
旅をするように暮らそうと再び思ったきっかけ
自分が始めた前のお店に関わってくれたスタッフ達だから、こっち都合での閉店に路頭に迷わせてはいけないと、強く焦りを感じたけど、多分もう閉める日が決まるもっと前から、ぼくが声をかけるもっと前から、別の日本人から誘いは受けていたんだろうな。
遠巻きで見た彼女はニコニコ働いていて、安心した気持ちと、なんだかもうここ(カンボジア)にこだわる理由もないかなっている感情がすごく乱れた。
ちなみに、新しい店舗での取り組みは、子連れに優しい店舗が作りたくて、少し頑張って大きめの物件を契約した。
なぜなら、コーヒー屋台で働いてくれていたスタッフ達(全員女性)は、シングルマザーだったり、家族の介護があったり、子どもが未熟児だったりと、これでもかってくらい全員が家の事情を抱えていた。
だから、そういった人たちでも働きやすい環境を整えることで、子連れのお客さんも安心して足を運べるような空間を作りたかった。
家族を養うためにはお金がいる。
お金をもらうためには働く必要がある。
でも、守りたいはずの家族が理由で働く時間を削ったり、確保できない現実があったから。
それを知ってしまったぼくは、何かできないかと力んで、今のBASECAMPというスタイルを作ったんだ。
BASECAMP SIEMREAPを始めたことで、お店にいる時間(言い方悪いけど拘束時間)がめちゃくちゃ増えた。
そのため、カンボジアで一番守りたいはずの、みらいスクールに足を運べる日にちもググッと減った。
だから早起きして6時に家を出て7時に学校着いて、30分くらい見届けたらまた帰ってきて9時前に店のOPEN準備を開始するなんてこともしてみた。
「子どもらに会うためならなんてことねー」と思ったけど、さすがに数日続くとバイクを運転しながら長い瞬きをしそうになることが多発したので、身の危険を感じて頻度を下げた。
旅をするように暮らしていない現実
話を整理する。
カンボジアに来たら小学校がない村に出会った。
そこには、学校に通いたい子ども達と、学校に通わせたい大人達の姿があった。

だから、いろんな人の力を借りて、みんなで学校を建てた。
その学校が始まった時、子ども達が言った。
「ユスケはもう来ないの?」「困った時は誰に言ったらいいの?」
そんな言葉を聞いて日本で生活するなんて考えられず、カンボジアで生活するための方法を考え抜いて、ネックレスブランド作ったし、コーヒー屋台も始めた。

子ども達の未来のための貯金を生み出すMIRAIブランドは、「子ども達を使って金稼ぎしてる」と村で変な噂が立ち、誰も口を聞いてくれなくなった時があった。
だから、そういうやり方やめて、カフェを始めたらカフェを手伝ってくれたスタッフ達にも、当たり前に家族がいて、そのスタッフと家族はちょっと個人の努力だけでは抗えない運命も抱えていた。
そして、そんな全部を守るためにBASECAMPを初めてみたけれど、守りたかったスタッフは別の日本人のところで働いているし、みらいスクール行く時間は減ったし、ならいっそのこと、もうカンボジアにいなくても一緒じゃないか?って思うようになった。
守りたいもの守るためにカンボジアに住んだのに、物価が安いと言われる国の商売は価格競争に巻き込まれて消耗しながら働かなければならない。
それよりも身軽なライフスタイルで、時間や場所にとらわれず働けば、来たい時にカンボジアには来れるし、カンボジアで仕事がなければ行きたい時にみらいスクールや元スタッフ達に会いに行ける。
これが一番理想のライフスタイルじゃね?今んとこ。
まとめ:旅をするように暮らすぜ

大切なものを守るために、大好きな国に住んでいろんな仕事を作ってみた。
それでも、ぼくは旅をするような暮らしの方がいい。
数年前ならわからなかったけど、今ならはっきり言える。
どこに住んでいても、会いたい時に会いたい人に会いに行ける準備をしておけばいい。
近くにいることだけが愛ではないから。
この数年間、好きなことばかりやってきた。
そのおかげで、やりたいことはたくさんやれたけど、やらなくてはいけないことも随分疎かにしてしまった気がする。
時間や場所に制限を受けずに稼ぐ力を高めること。
場所にこだわらず、大切なヒト・コト・モノ・バショを守れる力を高めること。
つまりは、本当にやりたいことやるための最善の準備しとけよ俺!ってこと。
それが、ぼくが作りたかったバックパッカーっていう生き方じゃね?
大切なものはここにあるし、離れたくなかった。
それでもぼくは、旅するように暮らすことを選ぶ。
そんな感じで!
また明日!
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学校を建てるって村との約束を守って。 寄付や募金頼みみたいな既存のやり方を破った。 次は続けてきた自分のスタイルとかしょーもないこだわりから離れること。 俺、次へ行くよ。
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