ぼくが所属していた高校の野球部が、2016年度で創部20周年という節目の年を迎えました。
20期生に該当する今年度の一年生が入部し、彼らが3年生となる2年後は全国高等学校野球選手権が100回記念を迎えようとしています。
計ったようなこの偶然の巡り合わせは、まさに運命をも感じさせられるできごとでもあります。
そんな母校の出来事に、実は今、OB会の理事という形で関わっています。
今、現監督とOB会でこの節目の迎え方を検討し、何か現役とOBが繋がる催し物ができないかと構想を企てている最中です。
ぼくらの高校時代
ぼくはこのチームの6期生に当たる。
看護学校としての歴史を誇る女子校が、男女共学として生まれ変わった6年目にぼくは入学した。
ぼくは3年間の高校生活のうち2年間を旧校舎で過ごしていた。
もともと女子校だっただけに野球場なんてあるはずもない。
グラウンドそのものも広くない。
ぼくら野球部は市内のグラウンドを借りて練習していた。
もちろん、毎日同じ球場でやれる訳もなく、予約が重なれば別の球場で練習をする。
遠い時には隣の市まで自転車を走らせた。
この往復の移動時間が練習に充てられたらと何度も考えた。
この様子を当時の新聞記者たちは、「渡り鳥」と揶揄していた。
今だから言える思い出の一つに、「ノンストップ」というルールがあった。
6時間目の授業が終わると帰りのHR。
そしてそのまま掃除。
掃除が終われば着替えをして自転車に乗り、一目散にグラウンドへ向かう。
15時半頃学校が終わって16時には、移動した先で練習が始まる。
決して近くないグラウンドまで自転車を飛ばし、先に出た先輩に全力の挨拶をかまして追い越していく。
下級生にはグラウンド準備があるため、ゆっくりしてられない。
信号や標識よりも先輩の方が強いのだ。
ぼくたち下級生は自転車に乗ったら、グラウンドに着くまで止まれなかった。
それがノンストップというルールだった。
田舎とはいえ、そこそこ大通りの交差点を巧みな斜め横断で効率良く渡る。
それも集団が。
当時ご迷惑をおかけしました近隣の皆様、本当にごめんなさい。
交通事故よりも先輩が怖かったんです。
そんな時代があった。
新校舎で過ごした夢のような1年間
ぼくら6期生が高校3年生に上がった4月。
ついに新校舎が完成し、歴代全部員念願の野球場も学校の敷地内にできた。
渡り鳥生活決別だ。
とは言っても本当に野球ができるだけ。
今でこそ当たり前にあるベンチもなければ屋根付きのブルペン、バッティングゲージだって当時はなかった。
プール沿いに設置されたブルペンは、当時の僕らバッテリーチームの手作りブルペンだ。
練習試合で相手を呼んだら、毎朝体育大会で使うような白い屋根のテントを張る。
そしてパイプ椅子を並べる。
外野のフェンスはありったけのネットを端から並べていき、足りなくなったら後輩が立たされる。
そうやって試合をしていた。
それでもそこは、それまでの歴代全部員にとって夢の場所だった。
そんな中、どのグラウンドにも当たり前のようにあるSBOのランプ。
(今はBSOなのかな)
弓道場前に設置されたこのSBOは、ぼくらが3年生の時に当時まだ少なかったOBの先輩方が多額のお金を出し合って買ってくれたものだと後から知った。
「野球場なんだからSBOがあって当たり前。」
そんな奇跡のような贈答品すらも、当時は感謝の気持ちどころか当たり前に思ってしまっていた。
口うるさいだけ、押し付けがましいOB会なんて糞食らえ!
今はだいぶ環境が変わって、充実した施設になっている。
これを今の現役選手たちに
「お前らは恵まれてる」
とか
「これだけの環境で負けるなよ」
とか
よくあるOBたちの偉そうな言葉かけなんて全くしたくない。
サポーターが増えれば環境を整えることは、容易になるからだ。
自分たちのグラウンドで練習することなく引退していった先輩たちに比べたら、たった4ヶ月でもグラウンドを使えたぼくたちの世代は恵まれていた。
そしてぼくらの時にはなかった施設が、今は当たり前のようにある。
それでいい。
そして今からまた、選手たちがより一層力を発揮できる環境をOBで整えていく。
ずっと母校にいられるのはOBだけ
人事異動による指導者の入れ替わりがあれば、保護者だって子どもが引退すれば入れ替わっていく。
でもずっと変わらず母校にいれるのがOBであり同窓会だ。
自分たちがしてもらった以上のことを後輩部員に繋いでいく。
そして歴代部員の夢を引き継いで現役生がさらに頑張れる。
そんなあり方が理想だ。
施設面や経済的援助が全てじゃない。
頼りにしやすい環境、卒業してからも戻って来やすい環境を整える。
「何かあった時のOB会」
選手や指導者、保護者から頼られる存在になるべきだと思う。
そしてOBも見返りを求めず、主役である選手に暖かい拍手と激励を送る。
母校を預かって、育ててくれる指導者に感謝の気持ちを持ち協力する。
選手、指導者、保護者、OBが「また少し地元を好きになる」
そんなチームを目標に貢献しようと思う。
僕は金はないけど
ノックならずっと打つ。
コメントを残す