「チェンライのコーヒーは有名」
そんな言葉だけを信じて、何の下調べもなく安易に乗り込んだタイ・チェンライ。到着早々、コーヒー農園への行き方を聞き歩くも、多くの人が知らないという事実。
「あれ?意外と何とかなるもんでもないんだな。」と街を歩き続けた。そんな最中で、出逢った一軒のコーヒー屋さん。そうです。コーヒー農家を訪れてきました。
巡り逢いの中で生まれた話
朝から歩き続けて、なかなか有力情報に出会えないまま、たまたま入ったコーヒー屋さんに、農園のことが書かれたチラシが置いてあった。すぐに手に取り、オーナーに「ここへ行きたい!」と伝えた。
「農園ならこの後いく予定だから、待っていたら車で乗せていくけど、何しにいくんだ?」と聞かれる。
「カンボジアでカフェをやっている。チェンライのコーヒーを取り扱っているから、現地の様子を直接目で見たくて来た。」そう伝えると、彼は支度を終え車に乗せてくれた。
(聞かれたことはこれだけじゃないけど、その詳細は下の方で書いています)
車に乗ってから知ったのは、今夜戻らず明日の朝帰りになるということ。
「そういえば宿はとってあるのか?」って言われて「え?ちょっと待て。」となったのは言うまでもない。7時に戻るって、朝の7時なの?今夜じゃなくて?
風呂入れない、着替えがないって状況は慣れてるけど、標高1500mでTシャツ短パンで過ごすのは慣れてない。 pic.twitter.com/JfwvDrD4fE
— YUSUKE (@yusukeworld_) 2017年6月21日
無計画に今日行くことになったから、着替えも持っているはずないし、宿はチェンライ市内で抑えてる。まぁ屋根があれば大丈夫かなって思ったけど、そうでもなかった。
コーヒー農園は標高1500mの場所にあるってことを忘れていた。
食い違っていた話
朝晩の冷え込みに何とか耐えたらいいかなと思っていたら、さらに話は食い違って来た。
農園に着いて降ろされると、乗せて来てくれたジェンとラトップは農園の人たちと何かを話した後に「See you」と言って立ち去ろうとしている。
え?ちょっと待て!お前ら一体どこに行くんだい?行ってもいいけど、明日の7時には迎えに来てくれるんだよね?
「明日?俺たちは明日来ないぞ、会議があるからな!」
え?俺どうやって帰るの?
ジェンとラトップは丁寧にバスの乗り継ぎ方を教えてくれた。
「で?そのバスはいつ来るの?」
「Tomorrow morning!!(親指立ってた)」
あ、そう言うこと?ここで初めていろいろ繋がった。
ここへ来た目的の中のストーリーが人を動かした
マジか・・・ってなってたら、農園の人たちが「なぜここへ来たのか?」を聞いて来た。
カンボジアでカフェをやっていること、チェンライのコーヒーを扱っていること、生産者の様子を直接目で見たかったことを伝えると「ふーん」みたいなリアクションを取られて、次にこう聞かれた。
「何でカンボジアでカフェを開いたの?もともとやりたかったの?」
「もともとカフェがしたかったわけじゃない。最初は、カンボジアに小学校を建設した。今はその子たちを育てるためにカンボジアで働いている。」
そう伝えると目つきが変わっていろんな質問をされた。
今、学校は開校から半年経って子どもらは毎日元気に通っていること
でもそこを守っていくにはお金がかかること
だからこそカンボジアで仕事を創り出したこと
子ども達とブランドを立ち上げたこと
将来子ども達の働き口になるようなカフェにしたいこと
子ども達が大人になるまで店を継続させて拡大していかなくてはいけないこと
そのためには生産者の想いが伝わる一杯を出したいこと
そんなことを一つずつ丁寧に話をしていたら、彼らはいつの間にか真剣に話を聞いてくれていた。
「わかった。」
そう言うと、スタッフの一人が農園の中を案内し始めてくれた。
最初にも書いたように、何にも調べず勢いだけで行ってしまったので、コーヒーの収穫時期ではなかったけど、丁寧にいろんなことを話してくれた。
そして農園をぐるっと一周したら、「今日店を閉めたら市街地まで送るよ」と言ってくれた。
そして、閉店まで待たせてしまうから、と言ってラテとコーヒーゼリーを出してくれた。
そんな・・・。こっちの都合で勝手に来ただけなのに。
ここへ来た理由を正直に素直に伝えたら、彼らは突然の訪問者を快く受け入れてくれたのだった。
優しさに触れ続けた時間
帰りの車の中で「どこか観光はした?」と聞かれた。
チェンライは仕事のために来ているから、観光はしていないし、するつもりもなかったけど、それを伝えたら「じゃ行きたいところへ一箇所だけ行こう」って言ってくれた。
・・・優しすぎる。
チェンライ空港に到着してから、密かに気になっていた「シンハーパーク」。
ぼくが愛するシンハービールのシンハーの特大なやつが鎮座している公園。
コーヒー農家も行けたし、シンハーパークも行けて大満足。市街地へ着いて「お礼に食事をご馳走したい」と伝えたら、軽やかに断られた。
「明日も仕事が早いから帰って寝る。」
じゃ、せめてこれは受け取って!と差し出した紙幣を受け取らず、
「このお金はあなたのカフェの必要なお金に、もしくは大切にしているカンボジアの子ども達のために使って。」
何でこんなに優しいんだろう。去って行く車を後にしながら、涙が止まらなかった。
コーヒー豆にまつわるストーリーは後日別で公開します。
今日はそんなコーヒー豆に行き着く途中で出逢った、素敵な農園の人たちの素敵なおもてなしの話。
ありがとうしかないです。
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