今回の記事は、カンボジアで保護した猫を連れて日本へ帰国するための実際の手順になります。前提としては狂犬病予防接種やマイクロチップの装着が済んでおり、指定施設での抗体値が正常であることの証明書を取得済みであることとしています。
今回は180日間の輸入前待機の後から、日本へ入国するまでの手順になります。この前段階につきましては以下の記事でまとめています。まだの方は先にこちらをお読みになってから、本記事へお戻りください。
カンボジアで保護した猫と一緒に帰国する手順
180日の輸入前待機が終わったら、実際に猫を連れて飛行機に乗るための手続きになります。
1.到着予定空港管轄の動物検疫所に事前届出
日本に到着する40日前までに「狂犬病予防法に基づく動物の輸入に関する届出書」という書類を提出します。提出方法はFAXもしくはメール。
- 届出者の住所
- 氏名
- 電話番号
- ペットの品種
- ペットの名前
- マイクロチップ番号
- 狂犬病ワクチンの接種記録狂
- 犬病抗体検査の検査施設名と結果
- 出国予定地
- 帰国日時や便名
など非常に細かく詳細を記入する必要があり、記載した内容は日本入国の際に受ける輸入検査でのチェック項目となります。ここで相違があると輸入が不可になってしまうので、絶対に間違えてはいけないポイント。
書き方に不明な箇所がある場合は、事前に管轄の動物輸入検疫所に電話やメールで相談した方がいいです。我が家も何回か電話しました。
帰国日が正式に決まっていない場合は、未定で提出しておき、正式な帰国日が決まり次第「変更届出書」を用いて手続きを行えます。
ただし40日を切ってからでは、書類を受理してもらえないので早めに提出しておきましょう。
書類に問題がなければ「動物の輸入に関する届出受理書」が交付されます。この書類は、この後行う「輸出国証明書の取得」や「航空会社のチェックイン」の際に必要となるので、大切に保管しておいてください。
2.航空券の手配
続いて航空券を手配します。Webサイトやアプリで航空券を探す人がほとんどだと思いますが、オンライン上ではペットを連れて搭乗する手続きや空席の確認ができません。
面倒になりますが
- ペットを乗せられる航空会社のHPで希望のフライトを探す
- 航空会社に電話して希望するフライトでペットを乗せられるのか、空席があるのかを確認する
- オンラインで飛行機を予約する
- もう一度航空会社に電話して予約番号を伝えてペットの搭乗予約をする
- 数日後にペット搭乗確約メールが届く
という流れになります。
ペットと一緒に搭乗すると一言で言っても、預け入れをして飛行機から降りるまで会えないパターンと、手荷物のように足元の前の座席下まで連れて行けるパターンがあります。我が家は後者のパターンに対応している航空会社で、フライト時間の良さそうだった大韓航空で手続きをしました。
3.輸出前検査と輸出国証明書の取得
日本側の動物検疫の承諾と、ペットを連れて行ける飛行機を予約したら、出国に必要な書類をそろえます。
カンボジアのシェムリアップの場合は、いつも馴染みのあったペットショップはこの検査や書類作成には対応しておらず、初めてのペット病院でお願いをすることになりました。場所はここです。
手順としては
- 出国前10日以内に民間獣医師または輸出国政府機関の獣医師による臨床検査を受ける
- 犬の場合:狂犬病やレプトスピラ症にかかっている疑いがないこと
- 猫の場合:狂犬病にかかっている疑いがないこと
- 輸出国政府機関が発行する証明書(FormAC推奨)を取得する
- 輸出国政府機関の獣医官の直筆署名、公印、所属機関名、証明日が必要
検査を受ける期間が限られているので、早めにやればいいというわけではないのがこの書類の何点。
実際ぼくらもシェムリアップの動物病院で検査→書類をプノンペンに送る→政府機関から動物病院に証明書の返送という時間がかかっており、書類を受け取れたのはシェムリアップを出る前の日の夕方でした。書類の送付は全て動物病院がやってくれましたが、受け取るまでは本当に間に合うのか心配すぎた。
4.カンボジア出国に際して必要な書類の取得
先ほどの輸出国証明書は、だいたいどの国からでも必要となる共通の書類になるかと思います。
加えてカンボジアからの出国には
- 健康状態が良好であると示した衛生証明書:VETERINARY CERTIFICATE
- 寄生虫やノミの駆虫証明書:ANTIPARASITIC CERTIFICATE
も必要になりますのでお忘れなく。
こちらは輸出前検査の時に、動物病院にお願いをすれば難なくやってもらえました。
5.出国手続き
- 届出受理書
- 狂犬病抗体検査証明書
- 輸出国証明書
- 衛生証明書
- 駆虫証明書
以上の書類が全て揃ったら、ペットを連れて空港へ向かいます。全てチェックインカウンターでチェックがあるので、取り出しやすい場所に入れて持ち歩くと慌てずに済みます。
チェックインカウンターでは
- 書類のチェック
- ペットケージの大きさのチェック
- ペットの体重のチェック
が行われると聞いていましたが、書類以外は事前に申請していたためか、我々の時はありませんでした。
また、ペットの輸送費はオンライン上で航空券を予約する時には支払いができず、当日空港での支払いとなります。クレジットカードOKでした。
プノンペンから韓国の仁川を経由して中部国際空港までの輸送費は225ドル。全ての書類チェックが終わり、人間の荷物を預け入れたりチケットをもらってから支払い手続きになるので、当日は余裕を持って空港へ行って早めにチェックインカウンターに並んだ方が余裕があると思います。
保安検査場では一度ペットをケージから出して、抱えた状態でセキュリティゲートをくぐります。ペットがビビって逃げたり暴れたりしないように、あらかじめリードを繋いでおくといいです。
それ以降は通常のフライトとほぼ同じです。飛行機に乗り込む時も、乗り込んでから離陸するまでも特に乗務員さんによるチェックはありませんでした。なんなら乗り込む時にCAさんに「Hello Kitty」と手を振られていたくらい。
乗り継ぎ地の仁川でも同様に、保安検査場では一度ケージから出しますが、それ以降はなんのチェックもありませんでした。
6.入国手続き
乗り継ぎを経て、日本へ到着をしたらまずは動物検疫カウンターで到着時の輸入検査を受けます。動物検疫カウンターは、中部国際空港の場合、預け入れ荷物を受け取るターンテーブルのエリアにあります。
ここでは狂犬病抗体検査証明書と輸出国証明書を提出して
- 記載内容の確認(入国条件を満たしているか、事前届出書と相違ないか)
- マイクロチップの確認(正しく読み取れるか、番号に相違がないか)
- ペットの健康状態に異常がないか
などがチェックされます。
うちの子は検疫カウンターに到着した瞬間に、おしっこを漏らしましたが係員さんの優しい対応で救われました。
内容等に問題がなければ「狂犬病予防法に基づく動物の輸入検疫証明書」が発行されます。こちらは再びペットを連れて海外に行く際に必要な書類になるので、大切に保管しておきましょう。
検査にかかる係留期間は12時間以内(通常は数時間)と聞いており、マジで一体どのくらいで解放されるんだろう…と思っていましたが、我が家の場合は15分ほどで終わりました。おしっこもらしたのに!係員さんありがとう!!!
ここで輸入検疫証明書を無事にゲットしたら、人間の預けた荷物なども全部持って通常の帰国時通りに税関へ。ここでも再度チェックを受けますが、動物検疫カウンターのお墨付きをもらっているので、臆することなく2,3個質問に答えるだけ。これにて日本への輸入手続きは全て終了です。お疲れ様でした。
カンボジアで保護した猫と一緒に帰国するための費用
前回の記事で紹介した準備段階から含めて、カンボジアで一緒に暮らしていた猫と一緒に日本へ帰るための費用は384ドル+14,200円でした。内訳は以下の通り。
- マイクロチップ装着:20ドル
- 狂犬病予防ワクチン1回目:8ドル
- 狂犬病予防ワクチン2回目:8ドル
- 狂犬病抗体検査の採血:20ドル
- 狂犬病抗体価検査:13,000円
- クール宅急便:1,200円
- 狂犬病予防ワクチン3回目:8ドル
- 輸出前検査と輸出国証明書の相談と作成:95ドル
- 航空会社の輸送費用(カンボジア〜日本):225ドル
できるだけ代行業者を使わず、自分たちでできることは自分たちでやったり、タイミングよく日本へ帰る友人の協力もあって比較的抑えめの値段でできたと思います。また、直前の輸出前検査等の費用が良心的なお値段だったこともありがたい。大五郎くんの日本進出を応援してくれたみなさん、本当にありがとうございました。
カンボジアから一緒に帰ってきた猫と暮らしています
おかげさまで大五郎くんは帰国後も体調不良になることなく、元気にのんびりと二人と一匹での新生活を過ごせています。この記事が、同じように海外で一緒に暮らしているペットと一緒に日本へ帰ろうと考えている方々の、何らかのお役に立てましたら幸いです。
ペットを機内へ持ち込むために使ったキャリーバッグ
海外からのペットの輸入方法に関して参考にした記事
海外から犬猫などのペットを日本に連れて帰るための輸入検疫手続きについて|前編
海外から犬猫などのペットを日本に連れて帰るための輸入検疫手続きについて|後編