「自分が好きなことを仕事にしたい」と思って過ごした20代後半。確かに好きなことは仕事にできたけど、生活は対して楽にはなりませんでした。
このままの生活水準で生きていくの嫌だなって思って30代からは好きなことではなく、得意なことを仕事にしました。おいしいものを食べられる頻度が増えました。
好きなことを仕事にすると辛いは本当か?
好きなことを仕事にすると、好きなことなのに辛くなると言う人がいます。本当でしょうか?
好きなことで稼げるとは限らない
好きなことで稼げればいいけど、好きなことで稼げるとは限らない。
稼ぐためには人の役に立つ必要があるので、好きなことだけしていても役に立てるとも限らないからです。
好きなことをしていると他人に迷惑もかけていないかもしれないけど、価値を生み出せていなければお金はもらえません。
好きなことをやるために仕事にしたのに、仕事が回らないと食っていけないし、好きなことがやれない。これは辛い。
好きなことを仕事にしてもやりたいことができるとは限らない
仕事をしていくとなると、どうしてもお客さんのニーズに合わせていく必要があります。
「好き勝手やっている君がいい」と言ってくれる人がいても、その人がスポンサーにならない限り生活を守ってくれるわけではないので、結局はやりたいことより求められていることをやるようになります。
こういうことはワンピースの作者の尾田さんも言っていて
芸術とエンターテイメントは違います。
芸術とは自分を主張するもので、エンターテイメントは人の為の作品づくりです。
22歳で連載を始めたONE PIECE。カラーイラストに1つの葛藤がありました。
実は僕は、濁った色が大好きで、シブ~イイラストが、本当は描きたかったんです。
しかし「少年達は原色が好きだから」とかなり無理をして、鮮やかな色を使っていました。
今思えばその原色への抵抗って、自分が子供っぽい人間だと思われたくないとか、
大人にも認めてほしいとか、自分を知って欲しいという主張だったんじゃないかと思います…。
─つまらぬ。今思えばとてもつまらぬ。若僧め。
本当の意味でのエンターテイナーになれていなかったという証拠です。
自己の主張で、ルフィ達の服を、その世界を、濁らせてしまう所でした。
今はむしろ、鮮やかな虹の色が大好きです。一枚の絵に何色使えるか、と考えます。
連載14年目、本当の少年漫画家に少しは近づけたかな?
という、自分で商売している人なら多くの人が一度は味わうであろう、やりたいことと求められていることの相違は割とあるある。
好きなことの好きじゃない部分は目を逸らしやすい
好きなことを仕事にしているからと言って、その仕事の全てが好きとは限りません。
例えばぼくはブログを書いて生活していますが、文章を書くのは好きだけど、サイトの見た目を整えたりメンテナンスするのは好きじゃない。
でも、必要だから、やった方が自分のためになるから、仕方なくやります。もしくは本当にできないことや心からやりたくないことは、お金払ってできる人にお願いする。
好きなことをやっていられる時間が多いなら頑張れるけど、好きじゃないその他のことにやらなきゃいけないことの方が増えてくると辛くなる。
好きのレベルは異なる
一言で好きなことと言っても、そのレベルは異なります。
例えばぼくはケツメイシという音楽グループが好きですが
- ケツメイシの楽曲の中に好きな曲がある人
- ケツメイシのベストアルバムを持っている人
- ケツメイシの曲全て歌えて毎回LIVEにもいく人
では、同じ好きでも懸けているものが違います。抽象的ですが、熱量とか本気度が違う。
決して①レベルのケツメイシファンの人がダメという話ではありません。好きなことを仕事にするなら全力を傾けられて誰にも負けたくない気持ちや、その道で食っていく覚悟があるくらい好きじゃないと、好きだけじゃ乗り越えられないことがあります。
ぼくはコーヒーがただ好きってだけでコーヒー屋台を始め、そして閉業しました。(コーヒーは嫌いになっていません)
承認欲求を埋めるためにやっていると辛い
「好きなことをやっている自分が好き」とか「こういう仕事をしているとかっこいいと思われそう」とか承認欲求を埋めるためにやっていると、いつか辛くなります。
理由は人からどうみられるかで生きているから。もはや好きなことで生きていない。
チヤホヤされていると頑張れますが、自分ではない違う人に注目が集まったら、また目を引くために違うことをしなくてはいけない。
好きなことを仕事にして満足してしまう
「好きなことを」をしていると、悪い気はしないので満足してしまう可能性もあります。
好きなことやっているって耳障りのいい言葉ですから。
ビジネスの勝算を考えずに始めたけど、始めたことに満足してしまうと終了の鐘がなります。
勢いで始めるのはいいけど、始めた後は死ぬほど考えて改善していかないと、絶望します。
好きなことを仕事にするのはゴールではなく、スタートです。
好きなことを仕事にして失敗した例
ぼくは過去に2度ほど好きなことを仕事にした経験があり、いずれも失敗しました。
その1:カメラマン
写真を撮ることが好きだったので2016年に一眼レフを買って仕事にしました。
だけど、人に合わせて写真を撮ったり、人が望む色合いに加工することが嫌になって、カメラを仕事にするのやめました。
好きなことをやっているはずなのに、やりたいことやれていなかった典型です。
カメラを持つことさえ嫌になりかけましたが、おかげさまでそこの気持ちは持ち直して、今は趣味として再び楽しんでいます。
関連:カメラの学校を出ていないぼくが独学でカメラで仕事を得るまでにした5つのこと
その2:コーヒー屋台
その後コーヒーが好きなのでコーヒースタンドを開業しましたが、失敗しました。
コーヒーで街の人の役に立てなかったからです。
「好きだから」「楽しそうだから」「好きなことなら頑張れそうだから」と、今文字にしても自分の愚かさにドン引きするような理由。
好きなことをしていているだけで楽しかったり頑張れるのは最初だけでした。
張り切ってお店を開けていても誰も来なかったり、毎月赤字になっても好きだから頑張れるか?毎日楽しいか?といえば楽しくなかったです。
関連:カンボジア・シェムリアップで日本人初のコーヒー屋台(felice coffee)を始めました
これらの経験からの学び:どちらも本気ではなかった
本気ではなかったというと当時のお客さんたちに怒られそうですが、仕事は本気で取り組みました。嘘じゃありません。
しかし、本気でカメラマンになりたかったわけでも珈琲屋の店主として食って行きたいわけでもありませんでした。
カメラもコーヒーも「好きなこと」の一つではありましたが、生涯そこに全力を傾けて、覚悟決めてやっていくぜってほどのものではなかったのです。
やりたくないことをやらないために、好きなことから仕事を選んでしまったようなその程度の感覚。
商売としてのそのジャンルに全力を傾けて、誰にも負けない熱量ではやれていなかったことに気がつきました。
好きなことを仕事にするのが辛いなら得意なことをやる
好きなことで仕事するよりおすすめなことは、得意なことで仕事をすることです。
得意なことは人の役に立ちやすい
自分が得意だなって感じていることを、誰かは苦手に思ったりやりたくないと思っていたりします。
なので得意なことを、やりたくない人の代わりにやってあげるととても喜ばれます。
ぼくは動画編集したくない人の代わりに、動画編集の仕事をしています。
得意なことなので、特に苦しまずに続けられるし、相手には喜ばれるのでWinWin。
人の役に立つと稼ぎやすい
誰かに役立てるということは、ビジネスチャンスでもあります。
そして人の求める数が多いものこそ、価値あるものです。
価値を感じたものにお金は支払われるので、好きなことを頑張っていても、どれだけ素晴らしい商品を開発しても求めてもらえなければ収入にはなりません。
好きなことが必ずしも得意とは限らない
これはちょっと繰り返しになりますが、事実ですのでもう一度。
好きなことだからと言って、人の役に立てているとは限りません。
ぼくはコーヒーが好きだけど、人の役には立てなかった。
人が集まってくるようなことはできなかった。
得意なことを仕事にした例
最後にもう一度、自分ごとで恐縮ですが、好きなことではないけど得意なことでうまくいった事例は「宅配買取のサービス」と「動画編集」でした。
ヤフオクやメルカリを活用した転売が得意だったので、古物商を取ってリサイクル業をやったら生活が少し潤いました。
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まとめ:得意なことで稼いで好きなことを存分にやろう
カメラやコーヒーの例からの学びとして、好きなことを仕事にするよりも、好きなことをやる時間を生み出すために得意なことを頑張ろうと思いました。
そうすれば好きなこともできて、仕事自体も辛くもならない。
一応補足しておくと、好きなことは稼げないとは言っていません。好きなことをして稼いでいる人もこの世にはたくさんいる。
ただ、仕事は人生の全てではなくて、やりたいことをやるための手段であり、ツールである。
だから仕事を通じてやりたいことをやろうとすると、手段と目的がごちゃになることがある。
ぼくは完全にごちゃごちゃにして苦労したので、あんまり深く考えずに「好きなこと仕事にできたらいいな」って思っている人は、一旦立ち止まって得意なことで勝負するという選択肢も持ってもらえたらこの記事を書いた意味になります。ご静聴ありがとうございました。
得意なことを伸ばすなら
得意なことは人ざまざまだと思いますが、ぼくは「パソコンがあればできること」が割と得意です。しかし最初からスキルがあったわけではないので、練習しました。
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